造形美の深イイ話


この世の「造形美」に身を震わせて感動を覚えたことはありませか?
自然が織りなす「造形美」や人間の手で造りこむ「造形美」だってありますね。
でもこの言葉には決まりきった基準はないに等しいものです。

例えば貝のサザエ。自分の身を守るために背負っている貝の中の構造は、合理的かつ機能的なオブジェ(?)に圧巻ですね。どうしてあの曲線が造れるものかと首を傾げたくなりますね。

美術や建築などさまざまな造形に使われるバランスを考える場合、よく耳にする言葉があります。これを理解することで、過去の美しいとされる造形に近づく表現を獲得することができます。

●プロポーション(比例)とは
●バランスとは
●さいごに


●プロポーション(比例)とは

プロポーションとは、空間やものの形を決定するうえで、重視されるものとして部分と部分、あるいは全体と部分との数量的比例関係をいいます。

人体のプロポーションについてよく聞かれる「八頭身」は、ご存知のとおり頭部の垂直寸法が身長の8分の1に相当する体系となります。

◎黄金比

ある線分を2分割したとき、小さい部分と大きい部分の比が、大きい部分と全体の比に等しくなるような分割のことを「黄金比」といいます。

数値としては小さいほうを基準とすると、2:(√5+1)または1:1.618‥となり、大きいほうほ基準とすると(√5-1):1.618‥となります。

黄金比を2辺に使った長方形を「黄金長方形」といい古代ギリシャ以来、次のルート長方形とともに建築設計に応用されてきました。もっとも美しい比率と言われています。なぜ黄金比は美しいと感じてしまう比率なんでしょうか?
ある意味一つの解釈としては、『自然界のDNAに組み込まれている比率』とのことのようですね。

◎ルート長方形
長方形の短辺を1として長辺を√2、√3、√5などの無理数にした長方形を「ルート長方形」といいます。使われることが多いのは、√2長方形、√5長方形で、特に√2長方形は2分割しても比例がかわらないことから、JISのA判、B判の規格に応用されています。

◎整数比
整数で構成された1:2:3‥、1:2、2:3などのような比率を整数比といいます。単純で明確なことから、工業規格の部品などを生産するうえで実用性が高いものです。

◎級数比
次項目との差が一定である1:3:5:7‥(+2で次項目へ進む)のような等差数比、次項目と比が一定である1:3:9:27‥(×3で次項目へ進む)のような等比級数など、級数関係で出来ている比例を級数比といいます。
級数比のなかで、1:2:3:5:8:13‥のように競り合う2項の和が次の項になるような数列を「フィボナッチ級数(相加級数)」といいます。

フィボナッチ級数は、数列が先に進むほど2項の比が黄金比に近づくという特徴があり、メカなどの構成材を組み立てる寸法の組織にしばしば利用されることがあります。

●バランスとは

参照元:http://www.traveldiariesapp.com/

バランス=平衡・均衡とは、2つ以上の形や色のつりあいがとれた状態のことです。よいバランスをつくるための手法として「シンメトリー(対称)」「アシンメトリー(非対称)」、点対称(放射対称)」というのがあります。

◎シンメトリー
主に軸を境として両側が均等に対応する状態です。垂直線を軸としたシンメトリーは静的な安定感や荘厳さがあり、宗教建築などに利用されることが多いです。ユーロ地帯の古典主義ではシンメトリーが重要視されていました。

◎アシンメトリー
シンメトリーと対照的なのが、非対称の構成で変化をもたらす「アシンメトリー」であります。アンバランスなバランスといえる。

◎点対称(放射対称)
点を中心とした放射状の対称で、求心的だが動的変化もあります。

●さいごに
わたしたちの身のまわりにもたくさんプロポーションサイズ、バランスサイズがあります。たとえば用紙サイズや建築構造物2×4といわれる柱など。規格サイズの恩恵にあずかるこの世の中は、古代の先輩方が築いてきた賜物といえます。

そういえば、ここにもサイズ表記がありましたね!

http://www.decoplus-shop.net/?pid=99802472

このようなウェルカムボードに張り付ける用紙サイズもこのルート長方形にあずかる恩恵。なぜこのようなサイズなのかをちょっとだけ考えていただければ幸いです。