「難燃」と「防炎」のちがいって?

最近の安全や安心といったニーズは、とりわけ日に増しており、住宅のみならず商業施設などの内装仕上げにおいてもその安全性、とくに火災に対応した防火性能は建物の構造や内装にいたるまで、いろいろな規約があるのをご存知でしょうか?

前回のグリーンウォールでの内容の続きになるのですが、よく耳にするパターンとして長期催事の企画段階で行政や消防の許可、指導で相談されることがあります。
前回にも書き記しましたが、某メーカーでは「難燃商品」と謳ってのグリーンウォールに使用できる便利な既製品があります。

しかしながら、実際は「防炎加工してほしい」という要望が多からずもあるという現実です。つまりは、しっかりとしたお上への証明には「防炎」というワードが必要になるということになるわけですね。

では、「難燃」と「防炎」のちがいについて調べてみました。


●内装の防火に関する2つの法律とは

内装の防火に関しての法律は、建築基準法と消防法の2つの法律があります。

国土交通省の所管である建築基準法には、火災の初期における人の安全非難を実現させることを目的とした、いわゆる「内装制限」というものがあります。
人命の安全と財産の保護を、ある水準以上に達するため、建築基準法と連動して建築・住宅の火災安全への対策が義務付けられています。

総務省消防庁の所管である消防法では、消防用設備・消防装備を防火管理・消防活動で機能させ火災から安全を図り、火災予防・初期消火・人命救助・本格消化を主な目的として、人命を火災から保護するために、防炎規制を受ける防火対象物を定め、そこに使用する防炎物品の使用制限を定めています。

●許可または確認に関する消防長等の同意とは

建築基準法第93条(許可又は確認に関する消防長等の同意)では、建築主事又は指定確認検査機関が、建築の許可又は確認をする場合には「当該許可又は確認に係る建築物の工事施工地または所在地を管轄する消防長又は消防署長の同意を得なければ、当該許可又は確認をすることができない。」と規定されています。

消防法第7条(建築許可等についての消防長又は消防署長の同意)では、建築物の新築、増改築等について許可や確認をする権限を有する行政庁などが許可や認可をする場合には「建築物の工事施工地または所在地を管轄する消防長又は消防署長の同意を得なければ、当該許可、認可もしくは確認又は同項の規定による確認をすることができない。」とし建築の防火に関するものに違反しないときは同意したことを通知することとなっています。建築物の防火対策について、建築基準法と消防法が深く関係していることがわかります。

ゆえに「万博」や「全国◆◆博覧会」などの期間限定の仮設の建築物でも消防長または消防署長などの確認同意を得ないと建築許可されない、ということもあり中にはウォールグリーンなどにも対象が及ぶこともあります。

●消防法の防炎規制とその対象

消防法の防炎規制は、一定の建築物に用いられる建築材料以外の物品のうち一定なものについて難燃化を義務付けるもので、昭和43年の消防法改正によって導入されたものです。消防法では、物品の難燃性能を「防炎性能」と称しているようです。消防法では、特定の防火対象物で用いられる特定の物品は、防炎性能を有するものとしなければならないこととされています。

●「防炎」って?

「防炎」は「不燃」と異なり、あくまでも「燃えにくい」という性質を有し「燃え広がらない」ことをいいます。

消防法により「防炎規制」される「防炎物品」と
規制されてはいないけれど、暮らしの安全を守るための「防炎製品」
があります。

消防法対象外で防炎物品以外のもので、可燃性物質となって発生する火災を防ぐために特定商品に対して定められている防炎品を「防炎製品」のひとつに挙げられます。グリーンウォールのようなディスプレイでの目的であれば、そのうちの一つとなり得るわけです。

このラベルは消防庁に防炎登録表示者として審査登録した者が表示者とされます。

●「難燃」って?

「防炎ラベル」とは、消防法令に基づいたもので防炎性能を表示するためのラベルでカーテンやじゅうたんなどの防炎物品に付けられるラベルです。

「防火施工管理ラベル」とは、建築基準法に基づき、防火仕上げを行った壁や天井等の防火性能を表示するために貼るラベルです。加熱開始後の要件を満たす時間に応じての「不燃材料」「準不燃材料」「難燃材料」と区分されます。

こちらのラベルは実施団体の「防火装飾施工管理者講習会」を受講し、「壁装施工管理者」として登録した者が表示者とされます。

●さいごに

この法治国家の日本において、「安全」「安心」はこのような法律によって規制があり成り立つものです。この国の安全第一の根幹となる法律の存在をあらためて感謝する必要があるかと思います。